[タイトル]
幸福ということ―エネルギー社会工学の視点から
[著者]
新宮 秀夫
[出版社]
NHKブックス
[出版年]
1998
[ノートor原著情報]
[要約]
心の張りがある状態が幸福な状態=一方でそれはストレスが掛かった状態。
幸福の4階建て論
1階:人間の本能的な「快」(恋、富、名誉など)を得て、増やす
2階:獲得した「快」を永続させる。
3階:苦難や悲しみを経験し、それを克服する。
4階:克服できない苦難や悲しみの中に、幸福がある。
[感想]
工学者が書いた哲学書。
工学は世の幸福を実現するためにあるとすれば、その幸福とはどのような状態なのかを知らないとどうしようもない。
ただ、残念ながら、この議論を突き進めて4階建ての幸福論を出しているが、それがどのように今後の工学と結びつくかは不明瞭。
要するに、幸福の4階建て論から、後半の今後の社会のあるべき姿の展望とはつながっていない。
とはいうものの、「メタボリズム社会」といったあたりや、「持続可能な発展」の「発展」という言葉に噛み付いている点、
さらには、経済規模の拡大のみを前提とした社会の進み方への警鐘・批判を行い、「拡大」ではなく「代謝」ができる社会であるべきだ、と唱えているのはもっともだと思う。
なお、哲学書を展望した内容を読むにつけ、「人の自律的意思決定」というものがありえるのかという哲学の議論が何百年、何千年も繰り返されてきている点を見るにつけ、
結局、「人の自律的意思決定」というものが人の根源的な欲求としてあるんだなぁ、というように感じる。